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〜例えばこんな話もあったかもしんない『クロス』編〜



キラが一人旅に出るという日の前の夕方にそれは起きた。
「ねー。折角だから、ちゃんの手料理が食べたいんだけどなー僕」
「…え?」
「ね、キラも、そう思うでしょ?」
「う?オイラはどっちでもいいけど…。さんがいいなら…食べたいかも」
キラの遠慮がちな言葉にルイはにんまりと笑う。
「ほら、決まり!…宜しくね?ちゃん♪」
「え、えぇ―――?!」
の驚いた声が廊下に響いたが、その声は誰の耳にも止まらなかった。



気まぐれな彼が出した気まぐれな話。
は深い溜息を吐くと、自分が着ているピンク色のエプロンを落ち着かない指で弄った。
「…うぅ、宜しくお願いします…」
情けなさそうには苦笑する。
「あはは、大丈夫♪俺に任せなさいって!」
「まぁ、人格的には問題ですが。料理に関しては任せても平気だとは思いますよ」
「アオちゃーん、それ褒めてるのかなー?」
スッパーンっ!!
「誰がアオちゃんだっっ!」
どこからか取り出したスリッパを握り締めながら、アオイはアスカを睨んだ。
「別に無理してルイの我侭に付き合わなくてもよかったのに」
「…ライくん…」
が持っていた重そうな数枚の皿を後ろから取り上げると、ライはそれをテーブルの上に置く。
アスカとアオイ、そしてライは腰で巻くタイプのエプロンをつけていた。
「ごめんね、ライくんにまで手伝ってもらって…」
「いや、別に…俺は…暇だし」
「そーだよねー。それにちゃんのエプロン姿も見れるし、手料理も食べられる。僕に感謝して欲しいんだけど」
「…あのな」
用意されたソファの上に偉そうに座っているだけのルイをライは睨む。
だが、彼は全くその視線を気にしてはいなかった。
「楽しみだよねー!キラ」
「う、うん、オイラ、楽しみっ」
業とらしく隣に座っているキラに笑いかけて、純粋な意見で文句を言う口を封鎖させる。
キラの笑顔が眩しくて、は気合を入れなおした。
「キラくんのためだもん!頑張らなくっちゃ」
そうして三人に手伝って貰いながら、は調理を開始するのだった。



「…で。これは…何の匂い…?」
遅れてやってきたクロスが異様な匂いを放つ部屋を覗きながら、言葉を放つ。
異種を放っているのは匂いだけじゃなかった。
テーブルに並んでいるモノの一部がすごいことになっている。
「…ご、ごめんなさい…」
小さな呟きがの唇から零れた。
彼女の瞳にいっぱいの涙が溜まっている事がわかる。
―――ということは、あの端の黒い物体はが作ったってことか…
クロスは苦笑した。
それは他のメンバーも同じで必死に何かフォローをしようとしている。
「あははは!」
そんな中、ルイが明るく笑い出した。
「いいじゃん。こんなのができるとは思わなかったけどさー。これも一種の才能かもよ?」
―――これはたぶん場を濁そうとするルイのフォローだとは信じたいが、たぶんマイナス効果…
クロスははらはらしながらの表情を見つめる。
彼女は下に俯いていて、長い髪の所為で表情が窺えなかった。
「そ、そーだよ♪ちゃん!…料理は中身でしょ?ちゃんが一生懸命作ったんだから美味しいに決まってるv」
「…ふぇ、そうかな…?」
アスカのフォローにが少しだけ顔を上げた。
―――さすが、アスカ。こういうフォローは上手いな。
「そうですよ。様」
「うん、オイラもそう思うのだ」
アオイとキラが優しく微笑む。
「そうそう、見た目が悪くても中身がよけりゃあ…」
「……」
ライはの沈黙にハッとして自分の口を塞いだ。
―――馬鹿…
クロスの視線に気づいたのかライは慌てて別の言葉を捜そうとする。しかし、それはなかなか見つからなかった。
の視線がアスカたちが見本として作ったものへ移動する。
色鮮やかなそれは見るからにおいしそうだった。
の指がふるふると震える。
「…れ、…?」
ライが心配そうに言葉をかけるが、彼女は無言のまま自分が作ったモノの皿を両手に持った。
「ごめんなさい…っ、捨ててきます…っっ!!」
「えっ」
様っ!!」
勢いよくそう言ったは誰の言葉も聞かずに飛び出していく。
扉近くに立っていたクロスの肩と一度ぶつかったが、彼女は何も言わなかった。
―――…泣いてた…っ
大粒の涙を溢していた所為で顔を見せられなかったのだろうと、理解すると、クロスは全員を見回してからすぐに後を追う。

こういう時は何故か逃げている方が足が速かったりする。
クロスがに追いついたのは、彼女が息切れしてへなへなと座り込んだときだった。
「……」
少しだけ荒くなった呼吸を落ち着けながら、クロスは彼女の振るえている背中に声をかける。
「…うぅ、ふぇ…っ…、うっく」
嗚咽が聞こえて、その音色にクロスは急に彼女の背中を抱きしめたくなった。
「…大丈夫」
優しい音だった。
逞しい腕に包まれながら、はだんだんと落ち着いてくる。
「…ご、ごめんなさい…っ、ごめんなさい…」
―――
「いいから」
彼女が愛しくてクロスは優しく頭を撫でてあげた。
「…落ち着いて」
広い廊下の隅で二人は暫く呼吸を整えていく。
はようやく呼吸が落ち着きだすと、今度は耳まで真っ赤に染まっていた。
「…あ、その…クロスくん…」
「…ん?」
クロスの声が耳のすぐ傍で発せられる。
耳の後ろ側にくすぐったい感覚が起こった。
「…お料理のできない女の子ってダメ…よね」
思わずそういってしまう。
「そんなことないよ」
「でも、さすがに…これは…」
自分の膝の上に乗せていたお皿の上の黒い物体に苦笑した。
「…貸して」
「あ…」
クロスは有無をいわずにそれを口に入れる。
心配そうなの表情を他所に彼は満面の笑顔で笑った。
「美味いよ」
「…嘘…っ」
「本当」
が首を横に振ったのを見ながら、クロスは皿の上のものを全て口に含む。
一気に放り込んだため、暫く会話が出来なかったが、彼は全て飲み込んだ後もう一度柔らかい笑顔を向けた。
「美味いって!」
「クロスくん…っ」
の瞳から再び涙の雫がぽろりと落ちる。
「あ、…泣かないで」
さすがにその涙には困ったような表情を浮かべると、クロスはの手をとって、手の甲にキスをした。
「…な?」
「…ふぇ…、う、うん」
クロスの優しい笑みに急激な胸の締付けを感じながら、はただ頷くしかなかった。
甘いほどに柔らかい笑顔には勝てない。
安心感を与えてくれる笑顔がは大好きだった。
「本当に…本当に、美味しかった…?」
の不安そうな声。
「…あぁ、本当だって」
それを打ち消すようにクロスは即答する。
「…の手作りだから、俺には一番美味しい」
「…ん」
の涙を舌で拭うと、彼女はいつの間にか微笑んでいた。
「…ありがとう」
―――うん、やっぱり笑っているほうが可愛いよ。

「さ、あいつらのとこ戻ろう。キラの旅立ちを祝うんだしさ」
「あ、そう…!私ったら、キラくんに失礼な事…っ」
「大丈夫。…行こう」
クロスの『大丈夫』という言葉に心から安心しながら、はゆっくりと笑うのだった。



「――、暫くは…何も作らないほうがいいと思う…ぞ…」
「…うん、ディースお兄ちゃん…。私、反省してるわ…」
次の日の朝、6人が食中毒で倒れたという話は城中の話題になっていたが、何が原因だったという話は公にはされなかった…。


うあ〜いv少女漫画みたいー(ぉぃ)
げふげふげふ、すみません。クロスくんは健全しか描けない(笑)
え、裏の話はしちゃいやですよ(ナニイウカ)
あんまりクロスがメインじゃないように感じるかもしれませんが、実はこの話は元々ストーリーの一部に組み込まれていた闇に消えた部分のお話なのです(遠い目)
内容はキラのお別れ会じゃなくて、ルイくんのわがままで始まります。
『旅食に飽きた』とかなんとかで(笑)
エプロン姿妄想をして欲しかったので描いちゃいましたv(爆







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