第五夜

――まだ目覚めはこない…?
あぁ、大丈夫。だから、恐れずに続きを描こう。
――この夢は何故続くの?
あぁ、それは君が想像力の種を持っているからだよ。
咲かせよう?その花というストーリーを…




「捕まえた…v」
「え…?!」
「ふふ、俺の星の女神?少し油断しすぎじゃないのかな…?」
突如、テラスに吹き付ける涼しげなそよ風に身体を当てさせていたに予期せぬ出来事が起こった。
急に後ろから抱きしめられたのである。
しかも、その相手が…。
「な、なななな、なんでダーダイルさんがここに!!」
は酷く動揺してダーダイルの腕から逃げようと必死にもがいた。
「ふふ、無駄だよ…v君の力じゃ、俺には敵わないv」
優しい口調だったが、その口調の裏にはどこか棘のような意地悪な色が隠されている。
「うー――っ!!」
「…だから、無駄だと…っ、こら!」
悔しくなっては思わずダーダイルの手に噛み付いていた。
その行動に半ば呆れながら、ダーダイルは諦めたように手を離す。
「折角の再会だというのに、少しはロマンチックにできないものかな…?」
「…うぅ、急すぎるんですよ!心臓に悪いんですよ!!」
息切れを起こしながら、はダーダイルからじりじりと距離を開けていった。
「うーん、…それは俺のことを少しは意識をしていると受け取っていいのだね…?」
「…ちっ、ちがっ…っとわ!」
ダーダイルの言葉に慌てた瞬間、は後ろ向きに下がっていた自分の背中に何かが当たるのを感じた。
「…お前、んな歩き方してると危ないぞ?」
「…っ、ラ、ラ、ラララ…っん!!」
(こ、今度はライさんもですか…っ!)
誰かへのつっこみを繰り返している自分には気づかずに、は言葉を失ったまま視線を泳がす。
「…大丈夫か?こいつに何かされたのか?!」
――ブンブンっ!
口を金魚のようにパクパクさせながら、は首を横に必死に振った。
(あ、いや、でも何かされたのかも…)
一度、ダーダイルの姿を確認してから必死に振っていた首をそのまま斜めに傾げる。
「…どっちなんだ」
「…うーん、どっちもアタリでハズレってとこかな?」

いつの間にかすぐ傍にダーダイルが近寄ってきていた。彼の口元には妖しげな笑みが零れていて、口角が少しだけ上がっている。
それがには自分が面白がられているに違いないと直感させた。
「…面白がっているでしょう」
「あぁv」
の睨みつける視線には気にも止めず、ダーダイルは楽しげにきっぱりと即答する。
(…く、やっぱり)
はがっくりと肩を下ろした。
「…、大丈夫か?」
ライの心配そうな言葉には笑顔を返す。
「あはは、大丈夫そうですよ。たぶん」
「…ふふ、それはよかったv」
「ぎゃ…!」
するりとの腕はダーダイルの手によって掴まっていた。
「…それでは、穏やかな舞踏会の夜もいいが」
「お前、をどこに…っ」
ライが何か慌てて叫んだ気がする。
「…少しスリルを味わうのも楽しいかもしれないよv」
「え」
そう軽やかに言ったダーダイルの表情を眺めた瞬間、はダーダイルとともにテラスから飛び降りていた。

(え、いや、この高さ!普通に死ねるんじゃ…!!)

…っ!!」
後ろからライと他にも数人の声が聴こえた気がしたが、次に意識を取り戻した瞬間には全くもって違う景色がを迎えていた。

「…なんですか、ここ」
冷静に考えれば答えは1つしかなかったが、はあえて口に出す。
「…んー、何に見えるかな?」
「…海。船の上。しかも海賊船」
(…というか)
「攫われた―――!ダーダイルさん、誘拐は犯罪なんですよ!!」
「ふふv君のような美しい女神を攫う犯罪ならば大歓迎だねv」
(え、いや、大歓迎とかそういう問題じゃなく)
心の中でひっそりと突っ込みながら、は深い溜息を吐き出した。
「んー、可笑しいな…v君の見たい夢のレパートリーの1つだと想ったのだが…v」
「……ダーダイルさん…?」
は思わず、聞き流しそうになったが、なんとか顔をあげてダーダイルに言葉を紡ぐ事ができる。
「…今の、どういう意味ですか…?!」
「…おっと、なんでもないよ?」
「な、なんでもないわけないでしょうが!!」
ひょいと肩を竦め、逃げるような口調になったダーダイルにはさらに追い討ちをかける。
「…言ってください!言わないと噛み付きますからね…っ!というか、ジャグルさんのパンツを眼帯だとか言って、頭から被せちゃいますよっ!!」
「…おや、それは最悪な罰ゲームだね!」
ダーダイルはの必死な様子が微笑ましいのか、くすくすと小さな笑いを溢した。
「ふふ、必死だねv…でも、それほどこの夢が嫌なのかい?」
「…え?」
「…君は、夢から覚めたいの…?」
ダーダイルの瞳が真剣にを捕らえていた。
その緋色の瞳が心まで見透かしてしまいそうだ。
「…わからないんです」
(だって、夢だと判っているのに…)
「…目覚めたくない、目覚めたら…だって!…こんなに…今、楽しいのに…、恐いです…っ」
何故か急激に哀しくなってはボロボロと大粒の涙を溢している。
「あぁ…すまないね」
ダーダイルは静かな口調で頷くと、優しくの髪を撫で、頭を撫で、肩を抱いた。
「…気の済むまで泣きなさい。…俺が許してあげるよv」
「…ふっ、はい…っっ」
嗚咽が漏れ、小さく肩が震える。
長い時間そうしていたような感覚になった。
いつの間にか海原を往く船の上の空は真っ青な空に変化している。
「…可愛いね、全く」
溜息混じりにダーダイルはそう言って、そっと舌での零れ落ちた最後の涙を拭い取った。

「ダー…」
―――ドッガーーン!!!
が真っ赤になってダーダイルの顔をまともに見られなくなった瞬間、耳が割れるような轟音がすぐ傍で響き渡る。
砲撃に違いなかった。
「ふふ、どうやら…今から戦争が始めるみたいだね…」
冷たい口調で夢のスパイスにダーダイルは不服を溢した。
「…嫌われたものだな。…さて、俺の女神v」
独り言とは裏腹に優しい口調でダーダイルはに向き直る。
「君を安全な場所へ送り届けなければ…ねv」
「え、…ダーダイルさ…」
は連続する砲撃の音に不安になりながらも、ダーダイルの表情をしっかりと見ていた。
「…海に飛び込みなさい」
「…わわっ!!」
命令口調でダーダイルがの肩を押す。
油断していたはそのまま船の上から広い海へと身を投げ出された。

「約束を、星の女神…!」
ダーダイルの声が遠のいていく意識の中はっきりと耳に届く。
「俺とまた出会う夢まで、暫くは夢を見続けていて欲しい!…きっと、また」



―――次に紡ぐ夢は一体…?
それは貴女が望む事。
貴女のみが知る真実。

――ねぇ、この世界で存在しているはずなのに存在しないものはなんだと思う?

――だけれど、気づかないでね。
それに気づいてしまった時、唯一のその時にだけ、夢は終わりを告げてしまうのだから…

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