アオイの秘話
アオイは中流階級に位置する家庭の次男として生まれていた。 長男として生まれればまた別の生き方を教えられたのかもしれないが、次男として生まれた彼に強いられたことは兄の影になることだった。 何をやっても完璧な兄という存在を引き立てる役。 それが次男として生まれたアオイの生き方だったであろう。 だが、その素質はアオイにはあっても兄にはなかったのだ。 何をやらせてもそつなくこなし、完璧を求める理想主義者の両親の望みに答えられたのは間違いなく兄ではなくアオイだった。 やらせること全てになんでも才能を開花させた人間、それがアオイだ。 そして兄の方は、何をやらせても中途半端に終わってしまう。 引き立てるはずのアオイが日向に出て、兄は所詮日陰に咲く花のようだった。 しかし、両親はそれが気に入らなかったらしい。 何があっても、兄の方を褒め、アオイを見ようとはしなかった。 アオイはいつの間にか全力で生きることを辞め、兄を抜かない程度の力を引き出すことにした。 自分は兄の影から出てはいけないのだ、と。 幼い頃は必死に褒められたい意志で頑張っていたが、物心つけばそれが無駄だということが判る。 表の表情を取り繕って、兄を立てればいい。 自分が生まれてきた理由は、この馬鹿げた茶番の道化師であると…、ずっと考えていた。 丁度、アオイが12歳になった頃だったろうか。 繕った笑顔もごく自然なものに変わり、誰のワガママも素直に聞けるようになった頃。 海外旅行をしていた祖母が帰ってきたのだ。 生まれたときに一度顔を合わせたぐらいらしいその祖母は、家系の誰よりも優れた眼力を持つ人だった。 「この子は、馬鹿だね」 はっきりと兄に向かって、そう言ったのだ。 両親が自慢の息子を紹介した瞬間の出来事だったと覚えている。 そして、アオイに目線を向けてニっと笑った。 「よし、この子を貰っていくよ。あんたらじゃ、宝の持ち腐れだからね。全く、自分が育てたとはいえ、とんだ大馬鹿息子に育ったこと」 そして呆然としている両親の目の前でアオイの肩を抱くと、きっぱりと言い放った。 「アオイは私が育てるよ。このグレンがね」 ―――月日は流れ、アオイは兄という影や両親という壁に怯えない人間に育っていた。 グレンの教育は厳しいものがあったが、それはアオイを理解し、愛していたからこそだろう。 それにアオイもちゃんと応えたし、きちんと成果を持って返していった。 「ふふ、やはりこっちも…なかなか上達しそうだねぇ」 「そうですね。ここまで飲み込みの早い生徒は久し振りですよ!」 嬉しそうに剣技を教えにきた師範が笑った。その言葉を聞いてグレンも微笑む。 「…お婆様、これは一体何のために?」 アオイは小さく疑問を口にだす。 今までは社会や上流階級に通じるような礼儀作法・学業・芸術などの分野を叩き込まれていたが、今更ながら今度は剣技や体術などを教え始めたのだから、不思議でしょうがなかった。 「…ふふん、そりゃあ大切な女を護るために決まっておるだろう?」 グレンは穏やかな口調で口元に笑みを浮かべて答える。 「近頃は物騒だしね、世界を見てきて思ったが、もうじき…何かが起こるよ。そんな嫌な気配がする」 「……」 「私はね、私の為にあんたを鍛えているんじゃない。あんたの為に…いや」 グレンは首を傾げて、小さく肩を竦めた。 「違うね。…あんたが好きになる女性の為に、あんたが愛する女の為に、強くなってもらおうと思ったんだ」 「…それは」 「…それは結局、アオイ。あんたの為になるかもしれないが」 「…はい」 今まで間違ったことをグレンから聞いたことはなかった。だから、アオイは素直に頷く。 (今はまだ名前も知らぬその女性を――…。僕はこの手で護ることを誓おう…) |
アオイくんの秘話fでした! お疲れ様です〜vv ふへへへ(妖)どうでしょうか?!(何) ちょっとノリノリで書いてしまいましたYO(笑) アオイくんは素直ないい子なので書きやすくていいですね(爆) グレンお婆様はアオイがレイカの元に騎士になったその年に亡くなってしまわれますが…。 アオイくんに兄がいたとは!…如月もびっくりです(ぉぃ) |
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