フィラントの秘話


――燃えていく。全て…

「母さんっ、父さんっ…!どこだよ、なぁっ!!」
幼さを残す少年の叫び声は、周囲の炎の熱さにやられ喉が枯れ、荒れている感じだ。

――燃えていく。全てが…

「なぁっ!!お願いだ…っ、誰か、誰か…っ」
情けないと想いながらも、彼は大声で泣き始めた。
焼け焦げた臭いが異臭となって鼻を突き刺す。
人の肉が焼ける臭い。
吐き気と眩暈を誘い、まともな思考回路を停止させてしまう。
「母さん…」
近くで同じように子供が泣いている。
中には赤ん坊の様な声も聞こえた。
自分よりも小さい子が泣いているのを理解しながらも、フィラントも涙が止まらなかった。
最愛の家族が目の前で殺された。
見てしまった。
首が刎ねられるところをこの目で。
だけど信じたくなかった。
フィラントは嗚咽を漏らしながら、もう一度見つからない家族を探そうとする。
それは彷徨っている亡霊のようだった。
虚ろな瞳で涙だけを零し、流離う。
紅く燃え上がる紅蓮の炎。
舞い上がる木屑や灰。
「なんで…こんなことになったんだろ…」
言葉になっていない状態で、フィラントは膝をついた。
崩れ落ちる形で空を仰ぐ。
もう夜中のはずだ。
だが、立ち上る黒い煙と禍々しい炎が明るさとなって、まるで昼間のようだった。
「…父さん、母さん…」
…もう赤ん坊の泣き声は止んでいた。



――燃えたのは思い出と未来。



「そんなことないわ」
優しい音色で語りかけてくれたのはルーチェという女性だった。
小さな孤児院は質素だったが、子供の数は多い。
彼女が救った戦争孤児たち。
ルーチェは子供達にとって母親的な存在だった。
勿論、フィラントにとってもだ。
「…ルーチェさん」
少しだけ光の戻った瞳で彼女を見上げて、フィラントはルーチェが淹れてくれた温かいココアを口にする。
少しだけ熱くて、猫舌のフィラントは『あつっ…』と呟いてから、ルーチェのくすと微笑と優しい穏やかな表情に妙に恥ずかしくなって、視線を上げられずにいた。
「フィラント、貴方は他の皆よりかは大きいからわかるはず。…大切なものを失ったと想う。
それはかけがえのないものでしょう。
だけど、未来は失ってはいないのよ?貴方にはちゃんと道があるの」
「…道?」
「そう。…貴方が切り開いていく道」
優しい微笑がフィラントの頬を熱くする。
ピンク色に染まったソレを隠すようにフィラントは温かいココアの所為にした。
「大丈夫、貴方ならちゃんとできる」
心を落ち着かせる声。
この音色にフィラントは救われたのだ。
「…俺」
ルーチェは無言で聞いていた。
「俺、戦争なんてさせない!…もっと強くなって、それから皆を幸せにする!!」
「…うん」
「俺の好きな人たちを守る。…皆に笑顔でいてもらう!!」
「…えぇ、素敵なことだわ」
フィラントはまた少しだけ照れて、一気にココアを飲み干すのだった。


――そうだ、決めたんだ


――俺は大切な人を守る。大好きな人を。


――悲しい別れなんて嫌だ。
もうそんな悲しみを誰にも味合わせない。
俺は俺の力で守りたい。


…君を、守りたい
戦争孤児の時の話を一つ。
うん。
こういう描写?は好きだったりします(ぇ)
うん。
不幸な感じ…?(ぉぃ)まぁ、酷いやつなんですけど(吐血)
だけど、フィラントくんの明るさと強さはこの辺りからきていると想うんです。
いつも笑顔で感情豊かな彼だからこそ、この物語は映える。
そう…私は想っています。

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