ヨーグルの秘話

「あれ、神父、あの鳥、どうされたんですか?」
教会にいつもの時刻に訪ねてやってきた青年の言葉にヨーグルは面倒臭そうに首を動かした。
「…道沿いで羽を傷めて死に掛けていたので、僕が手当てをするために攫って帰ってきたのですよ」
「そうなんですか…」
金の髪を三つ編みにして一本に束ねた青年は意味深なほどの綺麗な笑みをヨーグルへと向けてくる。その笑顔はヨーグルにとって不可思議なものでしかなかった。
「…私がそうしたのが不思議ですか?コルチェ」
「いいえ」
ヨーグルが尋ね終わるのよりも少し早く、コルチェと呼ばれた青年は首を横に振った。
「神父らしいな、と想っただけですよ」
そして綺麗過ぎる笑みをまたヨーグルに向け返してくる。
「…そうです、か」
納得のいかないような顔でヨーグルは息を吐いた。
半月ほど前に偶然に出逢った青年。
それがコルチェだった。
森の中、漂うようにいつもの暇つぶしの散歩の最中に出逢った不思議な青年。
彼の話を聞くうちに、どうやら彼には同じ年齢の弟がいるようだったが、あまり彼の話はしたがらなかった。
町の中心に住んでいるとても美しい双子の兄弟の話は、森の奥深く、湖の傍に佇むこの教会にまで届いていたから、ヨーグルは瞬時に彼が彼らであることは理解していた。
しかし、コルチェは噂よりも摩訶不思議な行動をする青年だった。
今もこうやって日参とばかりにヨーグルの教会になんか足を運んでいる。
何しにここへ来るのか?興味がなかったが日毎にその質問を口にしたい衝動はヨーグルの中で何度となく繰り返されていた。
しかし、ヨーグルは結局は聞こうとはしなかった。
他人の領域に足を踏み入れる余裕は彼にはなかったから。

(しかし…自分でも可笑しいとは想っていたんですが)
ヨーグルは鳥篭の中にいる真っ白い鳥に視線を向けた。
興味がなかったから、その鳥の種類なんか気にはしてはいなかったが、その名前も知らぬ鳥を助けた自分自身が彼の中で一番難解だった。
――キュゥイ?
鳥が首を傾げ、ヨーグルの心を読んだ気がする。
「なんでも…ありませんよ」
ヨーグルは作った笑顔で鳥に優しく微笑むのだった。

「…この鳥、渡り鳥じゃないんですかねぇ…?」
数日たったその日の夕方にもコルチェは教会へやってきていた。
「…へぇ」
ヨーグルは一応挨拶程度の笑顔を浮かべ、優しくコルチェに相づちをうつ。しかし、余計に鳥への興味をそがれた。
(…結局は)
ヨーグルはだいぶ完治した鳥をそっと鳥篭から出してやる。それは彼にとって開放の意味だった。
「君も、仲間とともにここを過ぎてしまう生物だったのですね…」
どこか憂いを含んだ口調でヨーグルが呟いた気がする。
コルチェはその時に彼に何かの違和感を感じたが、それ以上は口を挟まなかった。
教会の窓の外で幾つもの羽音が耳に響いた。
「さぁ…行きなさい。そうして…飛び立っていくがいい…」
一筋の水滴が彼の頬を流れた気がする。
「…僕の傍から、離れて…いく…全ては」
「きっと来年、戻ってくるでしょうね」
コルチェの耳にヨーグルの呟きが届いたかは謎だったが、神父の言葉を遮ってコルチェは満面の笑顔でそう言い放った。

―――次の年の同じ月。教会の外に幾つもの羽音がヨーグルの睡眠を妨害した。
しかし、その時の彼の表情がどんな色を帯びたかは、きっと想像に容易いものだろう…。
秘話…?
秘話なんでしょうか??(ぇ)
ヨーグル神父で過去もの…!と想うと、リリスとの出会いと虐待系の話しか思い浮かばないので、それならば、ここは思い切って違うものを!
というわけで、こんな感じに(笑)
リリスとは再開を果たしていない時期ですね…。
神父のこんな一面もたまにはいいものじゃないですか…?ね?(脱兎






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