エルウィンの秘話

――あぁ、母さんがまた弾いているんだ…。

エルウィンはぼんやりと宙を眺めながら、一息をついた。
飲みかけの――とうに冷め切ってしまったココアを喉に通す。
耳に届く心地よい音色に先程まであった焦燥感は徐々に消えうせていった。
冷えたココアの熱と同じように…焦りというものがどこかへと旅立っていく。
宙を彷徨って、空気として。宇宙の理が必然のように。

――もっと、落ち着け。エルウィン。大丈夫、だから。

エルウィンはもう一度大きく深呼吸をしてから、何冊も広げていた本をゆっくりと閉じていった。
古い表紙で、常人には耐え難い文字が羅列している。
読もう、ともいえる気力さえ失ってしまう分厚い本。
歴史や地理などが永遠と記載されている。
そして…それらは全て、著者の名前が同じだった。
アゼライナを代表する、偉大な学者――エルウィンの父の名が。

博士号を持つ学者である父、有名なピアニストである母。
そんな二人の間に生まれたエルウィンは幼少の頃から、努力を惜しまない人間だった。
別に両親がスパルタ教育だったからではない。
むしろその反対で、二人はとても穏やかな――ある意味マイペースな――人柄だった。
エルウィンのことを可愛がってくれたし、何より愛してくれた。
強いて言うなら、全てはエルウィンが望んだこと。
そう、人一倍努力するのはエルウィン自らの行動だった。
大好きな両親に恥じぬ行いと、子供ながらに誉められたい一心。
二人が偉大で誇れるほど、尊敬できる人物だったから…。
その二人を貶す機会を周囲の人間に与えたくなどなかったのだ。
愚かな貴族たちに。

何度もアゼライナ国王の前で受賞し、国王自らの手から賞状を受け取ったことさえある。
全ては順調で、母親に負けないぐらいのピアノの練習も。
博士号を持つ、天才の父と並ぶぐらいの頭脳を。
エルウィンは稀なる努力という才能を持って、名をしらしめていた。

そんなある日のことだった。
アゼライナ国王から王城への召喚命令がかかったのは。

――僕が…水の精霊騎士…?

急に母親のピアノの音色がぷつりと途切れた。
本を片付けながら、エルウィンは壁に掛かった家族写真を眺める。
精霊騎士とは姫君の命を護る為の仕事。
そしてこの世にたった一人の姫君を愛するための――…


――精霊童話…の姫君、か。僕が精霊騎士になった以上…、その輪廻、止めて差し上げます。
エルウィンくん秘話でした!
はい、終了(笑)
エルウィンくんは決して天才なわけではありません。
彼はずっと努力だけを積み重ねてきた人間なのです。
勉強して勉強して勉強して…。
エルウィンくんが自分に自信のある発言をするのはそれ相応の努力や積み重ねがあり、それが誰にも負けないと思っているからです。

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