ルイの秘話
『貴方なんかいらない。僕の母さんを返せ!!』 ――僕は少し自分が吐き出した言葉に重さを感じている。 少なからず抱いているのは兄に対しての罪悪感。 ――この日になると、余計思い知らされる。 僕だけが苦しいわけではない。きっと、あの人も同じ気持ち…いやそれ以上の劣等感や嫌気を持っているんだろう。 自分自身への罪を嫌悪を抱えているんだろう…。 ルイは実の両親の墓に向かって立っていた。 そして添えられている野の花の安っぽい手作りの花束に鼻で笑う。 それは紛れもなく、実の兄が添えたものだ。 少し前に来ていたのか、それともルイがくる直前までここに立っていたのか…。そしてルイの気配を感じて慌てて立ち去ったのかわからない。 もしかしたら、まだすぐ側にいるのかもしれない。 「…ねぇ、兄さん?…いいんだよ。出てきても」 ルイは小さく漏らしていた。 一息で全てを吐き出して、ルイは暫く呼吸を止め、全神経を駆使し、空気中のかすかな動きを敏感に捉えるよう努力した。 だけど、変化はない。 そっと溜息を吐き出して、自分が持っていた高級そうな花束をそっと死者へ手向ける。 父親の方に愛情の欠片も持った覚えはない。顔すらしらないから。 だけど、世間体を気にして一緒に墓を作ってやった。名前だけだ。 …それが唯一の兄への謝罪。 兄を犯罪者としてみていないと、あの言葉は取り消したいという気持ちを込めて…。 ――兄さん、こんな性格でごめんね。 だけど、兄さんも兄さんだよ。兄弟喧嘩するならかかってくればいいのに。 「本当に…馬鹿だね。この状態じゃ一生許せないよ」 「すまない」 「なっ!!」 急に背後から言葉が聞こえてきて、ルイは心臓が止まるかと思った。飛び上がった身体を正常に戻し、できる限り冷静な振りをして、振り返る。そこには兄、ライの姿があった。 「…何、…急に湧いて出てくるのさ…」 「…お前が…いいっていったんだろ」 ルイと目線を合わせず、ライは俯き口調で言葉を続ける。 「俺を一生許さなくたっていいさ…。俺は罪人で…お前に許される資格はないから…」 ルイはその兄の後ろ向きの言葉に少しだけ腹がたってくる。じっと睨みつけても、全く自分を見ようとはしない。 視界にすらいれるつもりはないのか、ライはルイが丁度視界に入らない一点をずっと見ている。 「…許されるつもりがない、みたいだね。貴方は」 そしてまたついつい吐き出してしまった。 「…あぁ…。許される…はず…ないだろ」 ルイは苛立ちを覚えながら、涙を堪える。気配のないこの兄が嫌いだ。 真っ当に生きようとしない、この後ろ向きの兄が大嫌いだ。 「…兄さん、貴方を救った女の子…。姫君だったんだってね?」 「……」 「好きなんだって?馬鹿馬鹿しい」 「…勝手だろ…」 ルイはライの反応に少しだけ、笑った。生に対して、何も光を見出せない兄が唯一反応を示す存在。 「ねぇ?もし、貴方がその姫君に想われるようになったら、僕は貴方を許すよ」 「……なんだ、それ」 ライとルイは目が合った。 母親が死んでから初めて、やっと真っ当に目線を交わし、向き合ったのだ。 「…約束してよ?…僕に貴方を許す機会を…頂戴」 「…ルイ…」 ライは無言で弟を眺める。 ルイも小さく笑みを浮かべながらそんな兄を見物した。 瞳に生きる力を呼び戻す存在がいる兄に少しだけ羨ましいとさえ感じながら、安心する。 ――約束なんて本当はどうでもいいんだ。 普通の兄弟のように…話すことができるなら。そんな話題があるなら。 貴方と…僕。 唯一、接点を繋いでくれる約束。 それがあれば…僕らは兄弟でいられるから。 |
ルイくんの秘話でした☆ なかなか楽しかったですv ルイくんは捻くれているけど、本当はとても素直な少年なのですよ(笑) 如月の中では一番、素直でどこまでも真っ直ぐだなって想っています。だって、言葉の全てが彼の気持ちを表していて(笑) あぁ、また言ってるよ。だけど、そういう君は本当は誰からも嫌われたくないんだよねーとつっこみを入れてしまうんですよね(ぇ) ルイくんに対しての愛情を込めながら、この秘話を完成させました…vではでは〜☆ |
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